犯罪の嫌疑をかけられても「実はやっていない」方が少なくありません。
無実であるにもかかわらず被疑者や被告人として扱われているのなら、早急に不起訴や無罪に向けて動く必要があります。
今回は、冤罪を晴らすために気を付けるべきことを説明します。
1.一日も早く弁護士に相談する
冤罪を晴らすためには、一日も早く弁護士にご相談ください。これに尽きます。
ご自身やご家族、ご友人などが無実の証拠を探すための活動をすると、そうした活動が「罪証隠滅行為」に該当すると評価され、それが原因で逮捕されてしまうこともあります。
弁護士に依頼する以外に冤罪を晴らす方法はないとお考えください。
2.社会常識に沿った対処を「しない」
弁護士の助言を受けないまま、社会通念や一般常識に従った対処をしようとすることは、絶対にやめましょう。刑事手続において、あなたの健全な常識や社会経験は、一切通用しません。
その代表的な例が、黙秘です。
あなたが日常生活を営む上で、他人から話しかけれたときに、これを完全に無視するということは、ほとんどないのではないでしょうか。少なくとも、他人からの問いかけに対して無視することは、失礼なことであり、そうしたことを繰り返していると、じきに人間関係に支障をきたすというのが、常識的な考え方であると思います。
しかし、取調室の中では、話は別です。
取調官は、あなたを有罪にするために、少しでもあなたにとって不利な供述を引き出そうと、様々な工夫を凝らしてきます。
あなたの記憶が曖昧なところを強引に認めさせようとしてきたり、あるいは、いつの間にか認めていない筈の出来事を前提にして話を進めてきたりします。
また、あなたも人間である以上、記憶に従って正直に話したつもりの内容が、実は証拠と矛盾しており、誤った内容であったということもあるでしょう。
ですが、取調官が親切にそれを指摘してくれることはありません。むしろ逆です。取調官は、あなたがぼろを出すことを期待しています。取調べはそのためのテストなのです。
そもそも取調べは、真相を明らかにするためのものではありません。取調官は、あなたに質問する前から既に事件についての見立てを持っています。見立てに沿った話であれば採用しますが、見立てに沿わない話は無視したり、潰そうとしたりします。
こうした取調べにまともに対応しようとすると、どんどん状況が不利になっていきます。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
それは、取調べは、あなたとの対話や意見交換を目的としたものではないからです。徹頭徹尾、あなたを有罪にするために行われています。
ほとんどの取調官は、プライベートでは善良な市民なのだと思います。他人をいじめたり、陥れたりすることには、強い嫌悪感を抱いて生活しているのではないかと思います。
ですが、否認事件においては、取調官は、明確にあなたの敵として存在しています。そして、職務に忠実であろうとすればするほど、強大な捜査権限を背景に、あなたを執拗かつ巧妙に追い込もうとしてくるのです。
こうした取調べに対しては、黙秘をすることが極めて有効な手段になることが多いです。
ですが、あなたが健全な常識や社会経験に従った対応をしようと思ったとき、黙秘するということが果たして選択肢にあがるでしょうか。質問には真摯に回答することを心がければ、やがて状況が好転するとつい考えてしまうのではないでしょうか。公明正大に生きていれば、人生はうまくいくし、濡れ衣も晴れる。ついそんなことを考えてしまうのではありませんか。
残念ながら、それは誤りと言わざるをえません。刑事手続においては、社会常識に沿った対処をすることによって、かえって状況を深刻に悪化させてしまうことが多いのです。
どうか一日も早く弁護士に相談して、助言を受けてください。
当弁護団は、否認事件の弁護活動にも非常に力を入れております。どうか一日も早くご相談ください。