自首という選択肢

自首とはなにか

(刑法)
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

 2  (略)  

 法律上の「自首」とは、罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に、捜査機関に対して、自発的に自己の犯罪事実を申告し、訴追を含む処分を求めることをいいます(西田典之〔橋爪隆補訂〕『刑法総論』〔弘文堂、第3版、2019年〕459頁)。
 「捜査機関に発覚する前」とは、捜査機関に犯罪の事実または誰が犯人であるかが判明していないことをいい、捜査機関が既に犯罪事実および犯人を覚知している場合、犯人の所在がわからないだけでは、もはや「発覚する前」とはいえません(最判昭和24・5・14刑集3巻6号721頁)。

 そのため、「まだ発覚していないだろう」と思って警察に出頭してみたら、実は既に自分が被疑者として特定されており、法律上の「自首」は成立しなかった、ということもあります。

 もっとも、そうした場合であっても、自ら進んで警察に出頭したという行動は、刑事手続上、有利に扱われるのが通常です。

警察に出頭すると逮捕を阻止できることがある

 ここで重要なのが、警察に出頭をすることで、むしろ、逮捕されにくくなる場合があるということです。
 これはなかなか想像しにくいことかもしれませんが、その理由は、どのような場合に人を逮捕することができるのかを考えると、明らかになります。

 実のところ、単に犯罪をした疑いがあるというだけでは、人を逮捕することはできません。法令上、次のような定めがあるのです。
 「逮捕状の請求を受けた裁判官は……被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない」(刑事訴訟規則143条の3)。
 つまり、犯人と思われる人物が、逃げたり、証拠を隠滅したりする可能性がさほど懸念されず、逮捕による当人の社会生活への打撃と釣り合わないと判断される場合、警察は、逮捕しないまま(いわゆる「在宅事件」として)捜査を続けるべきことになります。

 さて、犯罪をしてしまった人が、自ら進んで警察に出頭したとしましょう。
 そうすると、当然、警察から見て、その人が犯人である疑いは高まることになります。
 しかし、その一方で、自ら進んで警察に出頭する人であれば、あえて逮捕しなくても、逃げたり、証拠を隠滅したりする可能性は低いと考えられます。
 その結果、法令で定められている逮捕の条件の一部(逃亡や証拠隠滅の可能性)を満たさないと判断されることがあります。そうなれば、警察は、逮捕をすることができなくなります。

自首についてご相談ください

 このように、逮捕を阻止する手段として、自ら進んで警察に出頭することが非常に有効な場合があります。
 ひとたび逮捕されてしまうと、その後、長期間にわたって、身体拘束が続いてしまうことも珍しくありません。
 「被害者の方には、大変申し訳ない気持ちでいっぱいで、もちろん刑罰を受ける覚悟もできています。ただ、逮捕されてしまうと、新聞で報道されて、家族にも迷惑が掛かるので、それだけはどうにかして避けたいのです」
 このようなお悩みを抱えている方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
 警察に提出する文書を作成し、出頭の際にはもちろん同行いたします。ご要望があれば、取調べを受けている最中に、同席することを求めたり、警察署内で待機したりすることもできます。このほかにも、被害者の方への謝罪や示談の申入れなど、精一杯、対応させていただきます。

 自首について経験豊富な北陸刑事弁護団があなたの権利を守りつつも、逮捕されないように弁護いたしますので、ご連絡ください。

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